「嫁」が「娘」になった時
私の実家も同居していて、兄が結婚した当時、父親がお嫁さんに対してどう接していいものか悩んでいたことがありました。
その時私が「嫁だと思うからややこしくなるんだよ。私の代わりに娘が1人増えたと思えば気も楽なんじゃない?」と適当に助言したことで、父親は随分時が経ってから「お前にああ言ってもらって気が楽になった」と、あの頑固おやじがそう言ったのです(笑)
その時母は…
なんとも複雑な心境だったようで、家事を分担したり、同居しているにも関わらず孫の面倒には一切手出し口出しをさせないお嫁さんに対し、やきもきしていた時期がありました。
母の気持ちも解らなくはないけど、私だって同じかも…と心の中で思っていました。
ばあちゃん子だった私は嫁姑問題を、ばあちゃん側の言い分と、嫁である母の言い分を幼いころから目の当たりにしてきたせいか、どちらの気持ちも理解出来るのです。
そういった環境がよかったのか、自分が嫁の立場になってからもいろんな事をクリアすることが出来ました。
そりゃぁすぐにという訳にはいきません。
状況に流されることなく、お義母さんに近づかなくてはと努力をしたのです。
せっかく縁があって一緒に暮らす事になったのだから、出来る範囲で努力をしてみるのもいいかなと思えたから。
持前の明るさは多少無理があっても、その気持ちはちゃんと通じるんです。
言葉を交わさない嫁姑は、うまくいきません。
見てればわかるでしょと言わんばかりに、会話をせずただ生活しているだけでは、本当の気持ちは一切通じてはいません。
感謝しているなら「ありがとう」、悪いと思ったら「ごめんなさい」、「おはよう」「おやすみ」…。
これだけでも家族は成り立つのです。
普段伝えにくい感謝の気持ちを「母の日」にだけでもと、贈り物をするお嫁さんもいます。それはそれで気持ちがあれば喜んでもらえるでしょう。
会話があれば、時と共に「嫁」から「娘」になることも、実は可能なのではないでしょうか?
私も実は4年ほど経ってからようやく「お義母さん」の「娘」となっていたと思っています。
それは出先で会った知り合いに、「嫁」ではなく「娘」だと紹介されたことがあったから。ほんとにおちゃめな「母」でしたよ。
私はもともと甘え上手なので、意地を張らずに頼ることにしたのです。
すると義母の方も遠慮なく接する私をみて、安心したかのように見受けられました。
特にお姑さんは同じ女性同士だから。
分かり合えることは、たくさんあります。
旦那やお義父さんの愚痴が言えるように、聞けるようになった時が「娘」となった瞬間だと私は思っています。
「嫁」が「娘」になる。
そんなすてきな「母の日」が増えるといいですね。